徹底解説!じげんのエクイティファイナンス(前編)

こんにちは。じげん経営戦略部長の寺田です。

7月5日にじげんが発表した約100億円の株式調達(エクイティファイナンス)、「株価・トリプル25」達成条件型新株予約権に関しては、日本初のスキームということもあってか、メディアや投資家、金融機関、他社の経営陣に到るまで、皆様から多数お問い合わせを頂いております。
本日も、M&A情報・データサイトのMARR Onlineに代表取締役社長平尾と寺田へのインタビュー記事が掲載されています(全文表示には無料会員登録が必要です)。
既存株主価値を守りながら成長原資を確保するために、前例のない新たなスキームを当社から発案させて頂き、証券会社、法律事務所、信託銀行、会計ファーム、監査法人、東京証券取引所、財務省関東財務局と協議を重ね、ご協力やご意見も頂きながら、無事に世に出すことができました。
関係者の皆様には改めて、心より感謝申し上げます。

さて、当ブログでは、前後編に分け、じげんのエクイティファイナンスに関する考えをご説明いたします。前編では、そもそもエクイティファイナンスとは何か?よくある課題とは?といった点について記します。

じげんのような上場企業の株式は、証券取引所で誰もが売買できる状況にあり、株式の値段、つまり株価も日々変動しています。
この株価に発行済株式総数を掛けた金額が時価総額となり、じげんでは株価1,164円に対して発行済株式総数が52,791,200株なので、時価総額は614億円です(8月30日現在)。ヤフーファイナンスなどのサイトをご覧になれば、上場会社の時価総額はどなたでも知ることができます。
上場会社がエクイティファイナンスをすると、新たに発行する株式数をその時点の株価(厳密には引受証券会社の手数料分等を考慮する必要あり)に掛け合わせた金額を、ニューマネーとして調達し、成長投資や財務基盤の強化に充てることができます。

本来、株式による資金調達は上場企業が受けられる最大の恩恵の1つですが、投資家の立場から見れば課題もあります。
一般的に、新株発行と、それによって調達した資金から得られるリターンの発生にはタイムラグがあるため、エクイティファイナンス後のROE(Return On Equity)は、短期的には低下する傾向にあります(Returnが増える前にEquityが増えてしまう)。
また、一部では、エクイティファイナンスの公表時に示された使途以外の目的に資金が充当されるなど、必ずしも発表内容と実際の行動に整合性がない調達事例も散見されます。
発行体が十分にコミュニケーションできなかったディールに対する株式市場の評判は芳しくないことが多く、私も前職では、アナリストとして買い推奨をしていた銘柄が増資や売出といったエクイティファイナンスを発表して株価が急落してしまい、「やられた!」と思うことが何度かありました(エクイティファイナンスは重要情報に該当するので、インサイダー取引防止のため、IR担当者は事前にそれを匂わせるようなことは決して発言してはいけないことになっています)。

一方で、証券取引所に上場しておらず、時価総額が明らかではない非公開会社では、発行体が公表するエクイティファイナンスの金額が、発行体や投資家がどの程度の企業価値を想定しているのか、というヒントになります。
当ブログをお読みの皆様におかれましては、最近、お知り合いのスタートアップ経営陣の「X億円の資金調達を完了いたしました!」というFacebookポストをご覧になったことのある方がほとんどではないでしょうか。
例えば、スタートアップ企業であるX社は、創業社長が100%株式を保有していましたが、業容拡大に伴ってベンチャーキャピタルY社に対して20%の新株を発行して1億円の調達を行うとします。すると、新たな持分比率は創業社長80%、Y社20%となるわけですが、Y社持分から換算すると、X社の時価総額は5億円(=1億円÷20%)、創業社長の持分価値は4億円(=5億円×80%)という計算になります。
もちろんこれは机上の計算に過ぎず、IPOやM&Aによってエグジットがなされなければ価値は確定しません。
実際にM&Aの現場では、非公開会社のバリュエーションを計算する際、株式に流動性がない(上場していればいつでも誰でも売買できる=流動性がある)ことから、類似上場企業に対して20~30%のディスカウントを乗じることが一般的です。

少し話が逸れてしまいましたが、次回の後編では、「株価・トリプル25」達成条件型新株予約権の詳細についてお書きします。

株式会社じげん 寺田